巻頭言 |
Jpn J Radiol Technol 2000; 56(10)
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広域化における部会の役割
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河原 泰人
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平成11年度から広域化された全国 8 部会による運営がスタートしました.広域部会の発足にあたり,各部会理事の方々には大変なご苦労であったと推察します.広域化準備中には,広域化の弊害を心配された部会もあったことでしょう.しかし,時代の要望に対応するためには,古い殻から脱皮をして柔軟で流動的な組織作りも必要と考えます.広域化により学会が遠くに感じられるのか,無関心になってしまった会員もあるようですが,一部会を担当する立場として,部会を活性化することを目標に各研究会等とともに歩みながら,より効果的な総合力を発揮できればと考えます.昨年度は,従来からの行事としての部会学術大会とともに,部会セミナーを企画開催し,各研究会の内容をさらに充実させる方針で運営しました.初年度の執行状況は財務的には多少問題があるものの,地方部会としては精一杯の運営であり,それなりの成果もあったと思います. 一部会としては,会員が興味を持って一人でも多く集まるような企画を考えたいと思っています.特に,若い会員が集まってわいわい騒いでいる会でないと,活性化や会員の増加等期待できません.広域化により経費が増加し,財務的には非常に苦しい運営を余儀なくされていますが,会員の向上意欲による手作りの研究会で十分だと考えます.また,学術大会における研究発表も学生会員からの発表を受け入れ,次世代の人材育成も地方部会の役目と思います.第一歩を踏み出せる環境,人が集まる環境で情熱が沸き活性化されます.部会の役割は会員一人ひとりの足を止めさせない意識改革でもあります. 一方,部会がよい成果を上げるためには,組織を構成するそれぞれの会員が,実際に仕事をしていく場面で出会うさまざまなテーマを積極的に取り上げ,創意工夫を活かして解決していかなくてはならないことが多々あります.つまり,学会や部会は大きな枠組みであり,その中身を充実させるのは会員の主体性に基づく参画意識や創意工夫ということになります.研究活動にしても各施設間の有機的連携が保てるような支援を進め,広域化の利点を最大限に活かせる組織でありたいものです. 部会活性化のため,本年度事業計画に合同研究会を企画しました.従来から,部会学術大会時に合わせて放射線治療研究会,MR・CT研究会を時間外に開催していましたが,会場の時間外確保等が問題となり,開催方法等を模索し,画像情報研究会,核医学研究会を追加した合同研究会として 4 部門 4 会場を平行して開催しました.内容等は,担当代表者に一任し,時間配分も午前と午後にプログラムされた部門,午後最終までディスカッションが続いた部門,そして昼食返上で午前中?に終了した部門とさまざまでした.会場担当も総合受付とスライド係の数名スタッフでの進行で本当の手作りの研究会でしたが,終始熱気のこもった 1 日でした.数多くの解決すべき課題もありましたが,この小さな合同研究会に多くの方が集まりディスカッションされたことは,各担当者をはじめとする会員一人ひとりの力と考えます.この総合力を発揮できるのが広域化された部会と思います. 岡山には,2 月に西大寺会陽という約500年の伝統をもつ天下の奇祭“はだかまつり”があります.健康と豊作を祈って行われるもので,立っているだけで寒気で足が痺れる午前零時に,宝木(しんぎ)一対が投下され,数千の裸群の争奪戦は思わず叫び出したくなる圧巻です.研究会もはだかのぶつかり合いで白熱したものになれば,人は自然集まって学会への関心も高まってくると思います. 過去を繰り返し楽しむことなく,現状に満足することなく,常に進むことが大切です.少しでも立ち止まるとすぐに置き去りされるのが世の中です.わんさか集まって騒いでいると部会も面白いし,活性化するでしょう.会員も非会員も参加できる草の根作戦を企画できるのも部会ですし,部会の役割と考えます. (中国・四国部会長) |