JSRT 巻頭言 Jpn. J. Radiol. Technol. 2001; 57(9)
21世紀の放射線診療〜医学と技術の融和〜
第29回秋季学術大会へのお誘い
堀田 勝平 

 第29回秋季学術大会は,秋季の学術大会としては初めて日本医学放射線学会(JRS)第37回秋季臨床大会と合同で,平成13年11月 8 日(水)〜10日(土)に,名古屋国際会議場にて開催いたします.ご存知のように大会開催初日の11月 8 日はレントゲンがX線を発見した日であり,今年はレントゲンが第 1 回ノーベル物理学賞を受賞して100周年の年にあたります.X線発見によって現在の医療の発展があり,JRSとJSRTが存在し,私どもが生活できるのもレントゲン博士のおかげといえます.
 これを記念してレントゲンの生涯について,現地で調査された名古屋市立大学医学部附属病(元)院長の大場 覚先生に「レントゲンのノーベル賞受賞100周年にちなんで」と題し特別講演をお願いいたしました.また,順天堂大学(元)学長の片山 仁先生には「放射線科医と放射線技師の21世紀の選択」を,そして海の博物館館長の石原義剛先生には「海が病んでいる」と題し海の環境汚染についてお話をいただきます.
 合同の開催テーマは「21世紀の放射線診療〜医学と技術の融和〜」といたしました.21世紀の放射線診療を発展させるには,放射線の臨床と技術をお互いに研究し融和させなくてはなりません.特に画像のディジタル化が進み新たな画像表示と画像解析の発展によって,より正確な画像診断が期待されますし,核医学分野,放射線治療分野においても大きな進展が期待されます.今後の確実な進歩・発展のために,今まで以上に一層の連携を図って学術研究活動に取り組んでいきたいものです.
 さて,本大会の合同シンポジウムは,最近のホットな話題と課題をとらえて 5 題を企画しました.それらはフラットパネル関連や,昨今,多発している医療事故に関連したリスクマネジメント関連,そしてIMRT関連や肝癌IVR関連と,当学会の乳房撮影ガイドライン・精度管理普及班の研修会が大きく貢献した乳がん検診へのマンモグラフィー導入成果にみられるように,今後の他のがん検診への撮影技術の標準化と精度管理の課題と普及などについての討論も盛り込まれています.
 また,本学会の将来ビジョンについては,昨年度から将来構想特別委員会により検討され骨子ができあがりつつあり,本大会において将来構想委員会による「教育制度の変革に伴う本学会の将来ビジョン」についてのワークショップが行われます.日本における診療放射線技師教育施設は,現在40%が 4 年制大学に移行し,大学院修士・博士課程もでき,教育制度が大きく変革している時,本学会が歩むべき将来ビジョンについて考えていただきたいと思います.
 教育講演は各分科会との合同で七つの講演を企画いたしました.これらについては各分野の最新の臨床と技術を聴くことができるものと期待しております.
 さらに一般市民公開講座を「X線乳がん検診の効果と被ばく対策−増え続ける乳がんを克服するために−」と題して行います.女性のがんの死亡数が第 1 位である乳がん対策としてのマンモグラフィによる乳がん検診を取り上げ,安全で有効性のある乳がん検診システムについて読影医,技師,乳がん患者の会代表,そして疫学的なお話をいただく予定です.
 9 日の夜には同じ会場でJSRT,JRS,JIRAの三団体合同懇親会を開催します.愛知と三重の名物を用意しておりますので,是非,ご参加いただきたいと存じます.11月初めの名古屋は過ごしやすい気候であり,名古屋市近郊には観光地も多く学会終了後には秋の東海を散策しお楽しみいただきたいと思います.現在,JMCPおよび中部部会の絶大なるご協力いただき皆様を迎えるべく準備を進めておりますので,多くの参加をお待ちしております. 最後になりましたが,ご共催いただきましたJMCP,ご支援を賜りました日本医学放射線学会,日本画像医療システム工業会,日本放射線技術学会役員・委員の皆様に感謝申し上げます.

(第29回秋季学術大会大会長)