JSRT 巻頭言 | Jpn. J. Radiol. Technol. 2002; 58(7) |
より科学的に,さらに臨床的に!
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真田 茂 |
保健学系の教育現場では,診療放射線技師の教育制度が 4 年制大学,大学院と充実されていくことに伴う効果を目のあたりにすることができます.一番の目的でもあります“今まで以上に,優秀な卒業生を輩出できる.”ということについては,第三者による評価も待たなければなりません.まずは目に見える効果として進路の多様性があります.医療機関への就職のほかにも,ごく普通に選択肢として,企業,教育研究機関,行政機関への就職,そしてさまざまな領域への進学が挙げられるようになりました. このような教育システムは,これからの学生だけをターゲットとしたものではありません.ほとんどの教育機関では,編入学制度,社会人特別選抜大学院入学制度などを設けております.これらは,従来の 3 年制教育システムを経た方々,放送大学で学士を得た方々,学位はなくても研究業績のある方々などのための卒後教育システムとしても極めて重要です. 私自身, 3 年制専門学校の教育を受けた後,医療短大から 4 年制大学への変遷の真っ只中にある教育機関に在籍してきた者として,次のことを会員の皆様に強く提案いたします. 臨床現場において後輩の研究指導をしているような立場の方々は,自らもまたその後輩たちにも上記のような教育システムを積極的に利用することを是非考えて下さい.それは臨床現場の日常業務と研究を“より科学的に”行うための重要な突破口になると思います.それはまた教育現場にとっては,“さらに臨床的な”研究を展開させるための非常に大きな原動力ともなります.臨床と教育のそれぞれの現場が大局的に同じ方向性を持ってこそ,健全な放射線技術学の発展が期待できると考えます. そして,なによりも再教育を受けることにチャレンジした個人にとっては自らの実力を学位という明確な形で記すことができます.また,そこに到るすべての努力は,技術者,研究者として学術交流する際などにも大きな自信と行動力を与えるはずです. 会員の皆様の卒後教育や再教育にかける弛みない努力は,確実に今後の放射線技術学を深く広く発展させるに違いありません! (理事・学術交流委員長) |