JSRT 巻頭言 | Jpn. J. Radiol. Technol. 2002; 58(12) |
学術大会へ期待するもの
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森 克彦 |
本学会における学術業績を評価する場としては,大きくみると研究成果を発表する学術大会(総会・秋季学術大会)があり,そして学術研究論文を掲載する学会誌を挙げることができます.学会としては,学術論文の一層の充実を願っている訳ですが,同時に学術大会に関しては,いかに会員の皆様に快適な研究発表の場を提供するかということを念頭に置きながら,経費ならびに関連団体との協調運営を勘案して対応しているのが現状です. 現在,皆様ご承知のとおり日本放射線技術学会総会学術大会は,JRC(日本ラジオロジー協会:Japan Radiology Congress)に参画して開催しております. JRCは,1988年('88年から'01年までJMCP:日本医学学術集会振興協会)に設立され,日本医学放射線学会・日本放射線技術学会・日本画像医療システム工業会の 3 団体により,学術発表はもとより相互乗り入れも可能にし,最先端の放射線関連機器の展示を開催するなどユニークな合同開催をして15年が経過しました.この間,開催関連で種々の改善がなされましたが,まだまだ課題も山積しているのが現状であり,そのなかの幾つかを取り上げて将来への期待を込めて述べてみたいと思います. 定置開催については,中枢・安定・ゆとりという面から,当初より一貫して目指しており,発表会場と展示会場の両面からみて最適地がないことから現状では横浜市と神戸市で開催しているという経過があります.満足できる会場を今も探しておりますが,ここにきて横浜会場の会議センターおよび展示会場拡張整備がなされてきており,本来の目的としていた定置開催地として浮上してきております. 参加登録費は,1998年(第54回大会)より当日参加登録費が一律12,000円のJRC統一金額となっております.金額については種々のご意見はある訳ですが,少なくとも会員と非会員の参加登録費の格差をつけてメンバーズ・ベネフィットは確保すべきであり,同時に厳しい財務環境にあることから受益者負担を基本原則にして,適切な参加登録費を心掛けるべきと考えております. 総会学術大会開催期間については,継続的に 4 日間開催で推移して参りましたが,職場環境が長期の出張に厳しくなっている状態や,経費節減からの会場の有効活用を勘案して,JRC2003(本学会第59回総会学術大会)より 3 日間開催が施行されます.ただ,学術大会は教育・研修の場としての機能も備えており,特に学術的な教育分野だけでなく技術研修などの必要性・重要性が増してきており,ますますタイトとなることが予想されますが,世の中の要請には是非とも応えていくべきで,一貫した企画で会員にアピールする必要があります. JRC開催財源は,参加登録収入および国際医用画像総合展示の展示収入であり,支出は,大きく学術集会直接運営費・学術集会共通費・機器展示諸経費などとなって運営されております.したがって,できるだけ多くの会員の参加により登録収入を増やし,充実した学術大会の運営・実行がなされるべきと考えております.企画する側には,参加してみたいといわせる企画こそが財源確保に繋がるのだという認識を持っていただきたいと考えます. 大会運営・企画は,現在,JRCと学術大会開催に関する委託契約を結んで,大会長と少数の実行委員にて大会企画を立て,多くの部分をJRC事務局にお願いしております.将来はさらに大会長 1 名,実行委員長 1 名でも大会が行えるように,一層のJRC事務局機能の充実とその対応に期待するものであります.さらに現在,演題申し込みをホームページより行う方法や,PCによる発表も採用されてきておりますが,今後は,受付回答・採用通知もE-mail完全対応とし,研究発表もPC完全対応など,演題申し込みから発表までのIT化促進を図り,会員サービスに努める必要があります.また,秋季学術大会は,第25回(1997年)秋季学術大会よりJRC共催となり,第29回(2001年)秋季大会は,日本医学放射線学会秋季臨床大会と合同で開催されて盛会でした.今後は,会員が参加しやすい秋季合同学術大会がJRCにより開催されることを期待するものであります. JRCの法人格取得については長年の念願であり,現在,種々,検討が加えられて実現に向けて作業が進められておりますが,一日も早く認可されて一層の充実発展を念願するものであります. 学術大会は会員の研鑽発表,卒後・再教育,情報収集・交換の場であり,業績評価の重要な位置づけともなっております.山積している課題の幾つかを挙げましたが,これらには適切に対処していかなければなりません.会員の皆様には研究発表応募と学術大会参加に,一層のご理解とご協力をお願い申し上げます. (理事・大会開催委員長) |