JSRT 巻頭言 | Jpn. J. Radiol. Technol. 2003; 59(5) |
学会長就任にあたって
|
![]() |
藤田 透 |
平成15年 4 月12日に横浜市にて開催されました平成14年度総会におきまして,川村義彦前会長の後任として平成15・16年度の学会長を拝命しました.私にとりましては誠に光栄でありますと同時にその責任の重大さを改めて痛感致しております.会員の皆様のご支援・ご協力をいただきながら責務を果たしていく所存でございますのでよろしくお願い申し上げます. 本学会は昭和17年11月16日に創立され,昨年で創立60周年という輝かしい歴史の時を刻みました.当時,徒弟制度の強かった医療界において設立に奔走された指導者は,関係団体との調整に相当なご苦労をされて創設されたことが日本放射線技術史に記されております.翌,昭和18年 3 月28日,29日に九州帝国大学における設立総会開催(一般演題20題,参加者400名,会員数1,450名)に始まり,昭和50年には文部省による社団法人認可,そして平成 6 年には日本学術会議登録と学会はこれまで順調に発展を続け,来年は第60回総会学術大会を迎えようとしています. このように,これまでに発展してきたのは多くの先達の英知と会員皆様方のご支援,ご協力の賜であることを深く肝に銘じ,今後の発展に向けて最大限の努力をする覚悟でございます. 近年の社会情勢の変貌により医療界も大きな転換期を迎えておりますことはご承知のとおりであります.本学会におきましても,右肩上がりであった会員数も最近は他学会同様に漸減傾向にある流れのなかで,学術団体としての事業内容は年々充実し,また,公益法人としての責務も評価されてきております.しかし,関連する学会等の設立が叫ばれるなかで本学会が一層の発展をしていくためには,魅力ある学会として選ばれる存在でなければならないものと思っております.本学会員の約90%は診療放射線技師で構成されていますが,更に発展するためには,診療放射線技師以外の教育者・研究者にも多く入会していただき,学術研究内容の充実を図ることが重要と考えます.また,教育制度も多くが 4 年制以上となり,既卒者も学位授与機構などによる学士取得者が増加しており,学士・修士・博士の会員増加が見込まれることから,これらの会員が十分に活躍できる場を提供することが大切であると考えております. 昨年10月,将来構想特別委員会から「教育制度変革に伴う本学会の将来ビジョン」(学会誌第59巻第 1 号)として答申を受けました.これには20項目の勧告と28項目の要請が含まれております.平成15年度以降この答申に基づいた事業展開が求められ,全力を挙げて取り組みたいと思います.さらに,一層高度化する医療に対応するためにはスーパーテクノロジスト制度は不可欠と考え,関連学協会と連携を図りながらその確立に努力したいと考えています.本学会は臨床現場に直結した放射線技術科学を究めるわが国唯一の学問分野を包括した学術団体であり,この学会を発展させることこそが公益法人として社会への貢献につながるものと信じております. 昨年度,編集委員会のご努力により本学会誌が「MEDLINE」に収載されました.このことは文献検索が容易になるということだけでなく,学術団体として大きな一歩です.今後は,たくさんの論文を収載することと多く文献引用をされることが学術誌として重要になってきます.会員の皆様には日々の臨床・研究の成果を是非とも本学会誌にご投稿いただきますようお願いいたします. 与えられた期間でどれだけのことができるのか分かりませんが,幸い私は川村前会長,川上元会長のもとで 8 年間にわたり総務理事として会務に携わらせていただきました.その経験が多少でも生かせればと思っております. 浅学非才の身でこの歴史ある学会の学会長を務めることには不安が一杯ですが,最大限の努力を払うつもりでおりますので会員の皆様および役委員の皆様のご指導・ご協力をお願い申し上げます. (学会長) |