JSRT 巻頭言 Jpn. J. Radiol. Technol. 2004; 60(4)
今後の期待
篠田俊治 

 (社)日本放射線技術学会の監事として一年が経過し,多方面から学会運営活動についてご意見を賜り感謝致します.
 2002年10月に将来構想特別委員会から「教育制度改革に伴う本学会の将来ビジョン」と題する20項目の勧告と28項目の要請の答申を受け,日本放射線技術学会の長い歴史のなかで,理事会,各関係委員会等,各分科会,部会また事務局に対し,マンネリの打破と改革の指針が示された.これを受けて技術学会マニフェストとしての対応が迫られている.
 要請項目22〜24のスーパーテクノロジストの制度化は当面の大きな課題であると思われるが,(社)日本放射線技師会と関連団体としての連携も視野にいれる今日この頃でもある.本学会には関連団体の交流も盛んに行われるなかで,新たに交流関連団体が一つ加わっただけであり,今後の推移を見守りながら,本学会の路線については,不変であり本来の使命を果たせばよいと考える.
 専門診療放射線技師認定制度(仮称),特に関連学会(日本医学放射線学会,内科・外科系学会等々)に認知される制度の確立を目指し,そのためには,個人の更なる研鑽を促し,診療放射線技師の業務拡大を伴いながら,更にダブル免許取得の必要性をも考えられると思われる.
 まだ認定制度の明確な内容が明らかでないが,推測するに,今までのように検査を実施し,高度の技術提供を行いながら一歩も二歩も突っ込み,検査後の診断や所見にも抵触し,一定の基準を満たせばスーパーテクノロジストとしての資格が与えられるようなものになるのだろうか? いずれにしても一層の高レベルの研鑽が必要なことは確かである.本学会の各分科会,部会,委員会等による学術研鑽による寄与は,この制度化に重要な働きをつかさどるものと期待は高い.
 先に述べた将来構想特別委員会からの勧告と要請は,早急にできることと,じっくり腰を落ち着けて検討を要するもの,特に時代に沿った修正を加えながら検討しなければならない課題と多彩であるが,長時間の議論と経験を踏まえた「教育制度改革に伴う本学会の将来ビジョン」の答申であるから,本部学会理事,役員,評議員はもとより,部会役員,更に会員諸氏におかれても,学会雑誌第59巻第 1 号の答申の全文を熟読され,一層の理解を深めて頂くことを御願いする.
 従来からの学会運営活動を踏まえ,今後理事会,各関係委員会,各分科会また財務等が事業計画案を作成し,本学会の活動の柱となり,更に開けた技術学会を目指して努力を賜りたい.
 今年は監事として,部会費の統一を要望事項とさせて頂いた.学会本来の目的には地域格差を是正し一層の合理化と会員負担の軽減を図ることも大いに関心を持たざるをえない.現在,各部会誌の発行が活動費の40〜50%を占めるなかで,電子出版等,本部雑誌の利用も含めて,良い手だてがないものだろうか?
 部会や分科会等の発表演題の論文化もいろいろ論じられてきたが,部会の発表演題の論文化についても,各部会単位で,論文推進委員会(仮称)等を組織し,論文掲載に進めるような手助けのできる工夫が欲しいと考えている.一方で論文推進委員会(仮称)は足かせにならない対策も必要とも思われる.
 最後に過日行われた評議員選挙について,投票率が低く,もう少し投票率を上げる方法がないものであろうか? また選出方法にも投票者は戸惑いがあるように思われるが,如何なものであろうか?
 一例として,評議員資格者から一部の立候補制度等を設け,投票者に分かりやすくする必要があると思われる.
いずれにしても,評議員選挙の関心を高める工夫をし,本学会独自の選挙システムを確立し,会員に投票しやすい方法の模索を求めたい.重要な評議員選挙であるから当面40%以上の投票率が欲しいものである.
 2003年は学会長,理事も半数が新任され,本学会の諸規定等をよく理解し,効率的運営を心がけ,多くの課題と将来構想特別委員会の勧告,要請を含めて十分議論し,会員にメリットある本学会の趣旨をモットーに本格的な活動を2004年に期待したい.
 会員諸氏の一層のご理解,ご協力とご支援を御願いします.(監事)