JSRT 巻頭言 Jpn. J. Radiol. Technol. 2005; 61(1)
法人設立30周年を祝して
藤田 透 

 新年明けましておめでとうございます.
 会員の皆様におかれましては健やかに新年をお迎えになられたこととお喜び申し上げます.皆様にとりまして新しい年が飛躍の 1 年となりますことを祈念申し上げます.
 昭和50年 3 月24日,本学会は当時の文部省から社団法人の許可をいただきました.今年で30周年を迎えることになります.現在,多くの学術団体が法人許可を得ようと苦労をしていますが,文部科学省はこれを著しく制限しています.本学会は30年以上も前から当時の役員の方々がご苦労され許可を得てくださいましたので,その苦労をせずにすんでおります.当時,いかに尽力されて法人許可を得られたかを会員の皆様に知っていただくために,今号に新春座談会として特集記事を掲載しております.これは法人設立30周年を記念した企画で,法人化にご尽力くださった方々にお集まりいただいて,本学会の大きな一歩となる法人許可に至る経緯をお話しいただいたものです.会員の皆様には是非ともご一読いただきまして先達のご苦労に感謝し,皆様とともに法人設立30周年をお祝いしたいと思います.
 本学会は平成 6 年から日本学術会議に登録されていることはご存知のとおりです.今期の第19期には私どもの学会が所属する第 7 部「医療技術開発学」には415学会が所属していますが,このなかで社団法人は52学会のみです.いかに法人許可を得ることが困難であるかがお分かりいただけると思います.
 社団法人とは民法第34条に基づいて設立された公益法人の一つであり,その設立には,(1) 公益に関する事業を行うこと,(2) 営利を目的としないこと,(3) 主務官庁の許可を得ること,とされています.「公益に関する事業」とは,積極的に不特定多数の利益を実現することを目的とした事業で,また本学会の主務官庁は文部科学省であります.社団法人の許可を得ることにより,(1) 法律により権利能力を与えられ,社会活動の主体となることが承認される,(2) 軽減税率が受けられる,の 2 点が大きな利点で,この恩恵は今後の学会運営にますます大きく寄与すると思われます.しかし,一方では「公益法人指導監督基準」や「公益法人会計基準」等による種々の制約を受けることも事実であり,今後とも公益法人としての責任を果たしていかなければなりません.
 本学会発展の第一世代を創立から法人化までの30年間とすると,法人化から今日までの30年間は学術団体として充実の時期であったと思います.第一世代,そして第二世代を築いていただいた多くの先達に感謝したいと思います.今後の第三世代としての30年間は飛躍の時期とすべく,それが私たちの使命と考えております.公益法人として国民に質の高い,安心・安全の医療を提供するために会員の皆様とともに努力したいと思います.
 年始にあたりまして,今後ともますますのご支援・ご協力をお願い申し上げます.(学会長)