JSRT 巻頭言 | Jpn. J. Radiol. Technol. 2005; 61(3) |
第61回総会学術大会の開催にあたって
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藤田広志 |
第61回日本放射線技術学会(JSRT)総会学術大会は,2005年 4 月 8 日(金)〜10日(日)の 3 日間の会期で,パシフィコ横浜で開催します.第64回日本医学放射線学会学術集会,2005国際医用画像総合展,CyberRad 2005,および日本医学物理学会第89回学術大会も含めた五大イベントがJRC2005大会として同時開催され,今回もJSRTでは610を超える演題の応募をいただき,また,会期も今年は週末の 3 日間であるため,昨年を上回る参加者になると予想されます. JRC2005大会の統一テーマは「わ」です.「わ」は,和,輪,話・・・など多種多様な漢字で表現でき,その精神はプログラムの随所に反映されていると考えております.今回はこれまで以上に多くの合同企画が実現されていますので,異なる組織間の「和」のなかで,会員間の「輪」ができ,さらに「話」(対話)も弾むことでしょう. 今回の最大のトピックスは,「紙のポスターから電子ポスター(呼称:CyberPoster)へ」であり,わが国初の本格的な電子ポスターの導入になり,多くの方々から期待されています.その特徴は,「看板に紙を貼る」から「コンピュータに内容を登録する」(PowerPoint上で作成し,動画も可能)に変わり,「歩いて見て回る」から「座ってウェブで閲覧する」(疲れ知らずで,検索など多機能)になります.これは最新のIT技術を駆使した新しい発表形態であり,JSRTでは 3 割を超える演題がCyberPosterになります.質疑応答の機会も提供し,CyberPosterのなかで日医放の演者と一緒に討議する七つの合同セッション(約60演題)も企画しました.なお,会場内の無線LAN設備により,会場に設置されたパソコン以外の持参のパソコンからでも閲覧できますので,ご利用ください.将来は,職場,自宅,あるいは宿泊先からも見られるようになるでしょう.今回は電子ポスター元年であり,多くの問題点も見つかると思いますが,3 日間の会期ではすでにプログラムが組めなくなっているという問題を解決するには,これしか方法がないというのも事実です. 今回初めての試みはまだあり,初日の合同開会式で基調講演を企画しました.講師には,われわれの学会の名誉顧問でもあるシカゴ大学教授の土井邦雄先生をお招きし,「放射線医学におけるコンピュータ支援診断の現状と将来の可能性」についてご講演いただきます.さらに,この講演に引き続き,オープニングセッションとして,各分科会長にそれぞれの専門領域の世界的な研究動向,今大会におけるトピックスや演題の傾向をお話しいただきます.また初日および 2 日目の夕刻に合同開催されます「産学連携セミナー(11社より)」も今回の新しい企画で,産業界からの最新の情報が発信されます. 大会企画については,まず招待講演には,シンポジウム 1(世紀を超えた技術−X線イメージングの新たな展開−)に連動して,位相イメージングの世界的権威である原田仁平先生(名古屋大学名誉教授)に「白色X線を用いた新しいイメージング」について,また画像分科会のシンポジウムに連動して,ROC解析の第一人者であるC.E.Metz先生(シカゴ大学教授)に,「ROC解析の基礎と最近の進歩」についてご講演いただきます.また,特別講演は,世界最先端のインテリジェントホスピタルの設立の立役者である紀ノ定保臣先生(病院情報システム−新たな潮流と変化を探る−:岐阜大学教授)と,放送界の最先端の映像技術を語っていただく榎並和雅先生(放送における映像情報処理の最前線と将来展望:NHK放送技術研究所長)にお願いしました.さらに,特別企画として,大会長講演に連動した学術向上スキルアップセミナーを開催し,学会発表の仕方や英語論文の書き方などのノウハウを提供します. 最後に,本大会のポイントのみを列挙します(詳細は最終プログラムをご覧ください).合同シンポジウムは 3 件あり,このなかの一つは初めてのJIRA企画です.各分科会は今回も内容が充実しており,それぞれの専門分野の教育講演がこれに連動しています.JSRT独自のシンポジウムは三つ,フォーラムも三つあり(標準化,放射線管理,医療安全対策),また最近恒例の教育プログラムとして,モーニングフレッシャーズ,技術活用セミナー,臨床技術講座を早朝あるいはお昼に開催します.宿題報告 2 題(桂川茂彦先生,白石順二先生),新規の海外交流派遣報告もあります. なお,市民公開講座は 3 月20日に「視る・診る・見える〜ここまできた最新医用画像〜」と題して,名古屋大学で開催します. 本大会の実現は,JRCの隈崎達夫理事長,JRSの石垣武男会長,JIRAの桂田昌生会長,JSRT藤田 透学会長,JSRT大会開催委員会,JRC事務局,JSRT事務局等のご協力を得,片渕哲朗実行委員長,村上 剛,村川圭三,原 武史の各委員らの献身的な努力によるものです.ここに,大会長として心から感謝申し上げます. 総会学術大会運営もある種のターニングポイントに差し掛かっているようです.皆様の最新の研究成果の発表,新知識の吸収など,より楽しく快適にできる「わ」の場の提供になれば幸いです.多数の皆様の参加をお待ちしております.(第61回総会学術大会長) |