JSRT 巻頭言 | Jpn. J. Radiol. Technol. 2005; 61(9) |
第33回秋季学術大会のご案内
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冨吉 司 |
第33回秋季学術大会は,2005年10月20日(木)から22日(土)の 3 日間,かごしま県民交流センターにて開催されます.鹿児島では1985年以来20年ぶりの開催です.20年前の大会では,桜島の活動期で火山灰に見舞われ,車に灰が積もったことが今でも語り草になっています.現在の桜島は,噴火も休止期にあり火山灰も降ることもなく,皆様を迎えられると思います. 今秋季大会の演題申し込み数は380題,日本画像医療システム工業会(JIRA)演題22題と多くをお寄せ頂き,会員の皆様および関係各位に深く感謝申し上げます.秋季大会の演題申し込み数も年々増加しており,今後認定技師制度・スーパーテクノロジスト構想に伴い,本大会もさらに充実していくものと思われます. 第33回大会のメインテーマは「放射線技術の意識改革─技術と心の接点を求めて─」としました.放射線機器の発展はめざましいものがあり,技術革新への対応に追われる感があります.また,経済効率・人的効率・安全性が現場に強く求められてきており,マニュアル化された対応,規格化された検査に陥ることが危惧されます.最新技術を医療にどのように適応させるか,患者に優しい検査に取り組むための気遣い・心がほしいと思います. 大会企画「患者に優しい最新医療(検査のトピックス─技術と心の接点を求めて─)」として,CT検査・放射線治療・MR検査・PET検査・乳がん検診についてシンポジウムを開催します. 文化特別講演として「陶房雑話」と題して薩摩焼 第15代沈壽官先生に講演頂きます.先生は,『誠実にお客様の心に届く仕事をしつづける』をモットーとして活動されていることから,陶芸を通じて“技術と心”をお話頂けるものと期待しております. 学術特別講演としては「ひととは何か─生殖医学医療の進歩がもたらしたもの」と題し,鹿児島大学学長の永田行博先生にお願いしました.先生は,鹿児島大学病院産婦人科教授時代に「受精卵の着床前遺伝子診断の臨床応用」について取り組まれておられ,技術と心の問題についての話が聞けるのではないかと期待しています. 一般市民公開シンポジウムは,本学会学術委員会・撮影分科会の協力のもとで「マンモグラフィによる乳がん検診普及に向けて」(乳がんから命を守るためには)のテーマで行われます.基調講演は「乳がんの発生と進展について」と題し,鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍学講座腫瘍病態学教授 吉田浩己先生にお願いしました.シンポジウムは司会を今給黎総合病院の馬場なつき先生にお願いし,4 名のシンポジストを次の先生方にお願いしてあります.まず医師の立場から「乳がんから命を救うために─乳がん検診の勧め─」と題し,相良病院 雷哲明先生に,保健師の立場からは「自己検診の必要性について」と題し,さがらクリニック21 宮朋子先生,放射線技師の立場からは「マンモグラフィーの重要性」と題し,熊本県成人病予防協会 齊藤忍先生に,そして患者の立場から「広げようピンクリボンの輪」と題し,乳がん体験者の会つどい「いずみ」事務局長 池田朝子先生に発表をお願いしました. 学会発表との両輪である各分科会プログラムも充実した内容です.第58回画像分科会,第51回核医学分科会,第51回放射線治療分科会,第45回放射線撮影分科会,第26回計測分科会,第21回放射線防護分科会,第 6 回医療情報分科会とも時期を得た教育講演などを企画されており,最新情報獲得の場となれば幸いです. JIRA発表会も23回となり,JIRA会員の新しいアイディア,新製品,新技術紹介などの発表と,「医療機関における安全確保について」のテーマで,JIRAからの報告と医療機関からの報告があります.放射線科医として愛知医科大学大野和子先生,放射線技師として鹿児島市立病院 太田原美郎先生,行政官として厚生労働省九州厚生局健康福祉部医事課 池田尋隆先生が発表されます.病院にとって安全確保は最優先課題であり,全員討議が企画されているので,多くの会員が参加され安全への具体的取り組みについて討論されることを期待しています.また,各メーカーの宣伝・教育の場でもあるランチョンセミナーを11会場で企画しました.企業の考え方,取り組みについて限られた期間内に勉強して頂ける時間として計画されています. 10月21日には,桜島を築山に錦江湾を池に見立てた雄大な借景を持つ仙巌園(せんがんえん)で情報交換会が催されます.会場からは,専用バス送迎を行う予定です.またこの一帯は第28代島津斉彬によって製鉄・造船・紡績などといった集成館事業が展開され,近代日本発祥の地としても全国からの注目を集めており,当日は,情報交換会券が仙巌園入場券も兼ねていますので,時間の許すかたは仙巌園見学をおすすめします. 最後になりましたが,ご協力とご支援を賜りました日本ラジオロジー協会(JRC),日本画像医療システム工業会(JIRA),日本放射線技術学会関係者の皆様に感謝を申し上げます.(第33回秋季学術大会大会長) |