JSRT 巻頭言 | Jpn. J. Radiol. Technol. 2005; 61(11) |
画像診断コンソーシアムの発足
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神澤良明 |
平成17年 4 月 8 日,JRC2005大会において,画像診断コンソーシアムの発足式を行い,『画像診断コンソーシアム』が設立された.さらに準備を進め,7 月13日に設立総会を開催し,正式に発足・活動に入った. 設立趣意書のなかで次のように述べられている.「画像診断装置は長足の進歩を遂げておりますが,画像診断全体の評価は装置そのものと捉えられている向きがあり,撮影技術,安全管理,適確な画像診断法の選択と実践,さらにそれにより得られる医学的価値評価が画像診断そのものであるとの認識は非常に低い状態にあると言わざるを得ません.そこで,画像診断に関する啓発を進めるべく『画像診断コンソーシアム』なる組織を画像診断に関係する医師,技師,業界の団体にて立ち上げる準備を進めてまいりました.日常,画像診断の価値,評価を向上させ,画像診断が医療において,なくてはならないものであることを広く周知するとともにその経済的評価,技術的評価を確固たるものとすべく,『画像診断コンソーシアム』を立ち上げることといたしました」 画像診断コンソーシアムに参画する団体は(社)日本医学放射線学会,日本放射線科専門医会・医会,(社)日本放射線技術学会,(社)日本放射線技師会,(社)日本画像医療システム工業会,在日米国商工会議所医療機器・IVD小委員会の六つの団体で,まさしく放射線診療,画像診断を支える集団である. 近年,国家予算に対し医療費の占める割合が大きく,このまま医療費が伸びると保険財政が破綻するともいわれている.診療報酬改定でその削減が実施されようとしている. 趣意書にもあるように,この会の設立目的は画像診断の啓発,診療報酬における正当な評価を得ることである.そこで,今回の診療報酬改定に向け,この会として早急に画像診断の正当な評価を得るため,厚生労働省に対し意見を述べることとなった. 画像診断コンソーシアムの活動方針は大きく三つに分かれ,1.画像診断における経済的評価の確立と画像診断における技術価値の向上(診療報酬),2.画像診断の医療における効果の周知と理解の促進(広報活動),3.サンダーバード計画(被災地における画像診断による救援活動)を三本柱としている. 今まで学会は,その学会の目的によって研究発表,知識の交換等で学術の進歩発展に寄与するものだと考えていた.また,この目的を達成するために種々の事業を行ってきたが,診療報酬に関する事業はなかった. 今後,画像診断コンソーシアムで当学会が求められているものは,画像診断における技術的評価である.例えば『マルチスライスCTがシングルスライスCTより診断能に優れた画像を提供できる』という,意見があるとすれば,その技術的な検証を本学会で行っていく必要があると考える.この検証の結果に基づいた要求でなければ,要求そのものが意味のないものになってしまう.学会として診療報酬の適正な評価を求める運動を行っていくのかというとそうではなく,要求の根拠となる技術的検証を行うことが役割だと感じる. 今後,専門技師制度が確立していくなかで,その技術による放射線診療が国民の健康にどう寄与できるのか,国民が受ける利益に対し根拠のある評価を行わなければならない.それを学会に求められている.(理事) |