JSRT 巻頭言 | Jpn. J. Radiol. Technol. 2002; 58(4) |
創立60周年を期に一層の飛躍と連携を
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川村 義彦 |
この 4 月の行われた第58回総会学術大会は,中西大会長の元に多くの会員の皆様の参加を戴き盛会裡にそして大きな学術成果を上げて終了することができました.ご尽力を賜りました関係各位ならびに会員の皆様には心から御礼を申し上げます. 総会では,懸案でありました新事務所の購入ならびに移転の承認をいただき,文部科学省からも基本財産の財務処理も含めた変更許可を既に戴いていることから,早速に今月末を目途に移転の準備を進めております.新事務所は京都地下鉄烏丸線の五条駅から徒歩 3 分の新築ビル11階建ての 3 階フロアーです.新事務所のご案内は58巻 3 号に掲載しておりますので皆様ご活用下さいますようにお願い申し上げます. さて学会の創立が1942年(昭和17年)であることから,今年はちょうど60周年の記念すべき年に当たります.この記念すべき年に学会のさらなる発展を期して新事務所を構えることができ,また,学術業績の集大成としての放射線技術史第二巻を発刊することができました.これは長い年月にわたっての会員の皆様のご努力と,そして役員の皆様の献身的な取り組みがあって成し得たものであり,ご尽力を賜りました皆様には改めまして敬意を表しますとともに,心から感謝申し上げる次第であります.この 6 月にはご苦労された関係各位の皆様への感謝の気持ちを込め,同時に学会のさらなる発展を期して,新事務所開きとともに創立60周年記念式典を予定しております. また,長年の課題である学会の体質改善・機構改革プロジェクトをスタートさせておりますが,この改革に当たっては学会の設立理念・定款,さらに日本学術会議での21世紀における学術団体のあり方など基本的なことを踏まえて改革を進め,出来るだけ対処療法的な結果に終わらないようにと考えております.この度の改革では,まず「学会の長期的な発展を可能にさせること」を目標に掲げさせていただきました.そして学会は学術活動を通じて充分な学術成果を上げて高い評価を得るというのが本来の姿であることから,その目的の一つに学術団体としての本来の使命であるアカデミックソサエティとしての一段のレベルアップを図ることに置き,専門分野の学術の進歩・発展に一層貢献し,社会からも高い評価を得られる学術団体を目指すこととしました.また目的の二つ目には,学術団体のもう一つの使命であるプロフェッショナルソサエティとしての学術の発展を通じて信頼の放射線診療を確立し社会に責任を果たしていく役割りの,その機能の一層の充実を図ることに置いており,この二つを改革の基本軸に据えております.さらに学会の長期的な発展を可能にさせるために忘れてはならないものを挙げておきますが,それは多くの方々から入会したい学会と言われるような「魅力を創ること」に他なりません.そして「どのような魅力を創りだすか」ということと,そのために「組織内の活動とその能力の基板をどう整えていくか」の,この二つの要件を実現するための基本構想が改革には重要なことであると認識して戴きたいと思います.学会としてのビジョンを持ち,戦略を明確化しそれを実現するための仕組みをしっかりと持って,そして実行することが必要となるのであり,精力的に取り組んで参ります.今後のスケジュールは今年度内に将来構想特別委員会の答申をいただいて,その後,理事会で総合的に検討を加え機構改革プランを作り,そして内容を開示して皆様のご理解を戴き学会をあげて押し進めていくことになります.どうぞ,皆様の一層のご理解・ご協力を戴きますようにお願い申し上げます. さて,先に行われた第29回秋季学術大会は,堀田大会長の元に医学放射線学会第37回日医放秋季臨床大会と合同で行われましたが,この合同開催では今までにない盛会裡な開催ができ,そして次のステップへの示唆に富む結果を得ることができました.合同企画では特別講演に順天堂大学名誉教授の片山仁先生に“放射線医と放射線技師の21世紀の選択”と題してご講演をいただくことができました.その中で「日医放・日放技学・技師会の関係について」のお考えを,実に率直にありのままを諭すようにお話され,お互いの発展のために努力することが肝要であり,そして日医放・日放技学・技師会が三つ巴であるとするならば,早急に解決しなければならないし,もっと実りあなる関係とさせなければならないとお話をされました.そして,この三つの団体と,さらに放射線関連の学会・企業も含んだ相互理解・協力,そして団結が大切で,それこそが21世紀に踏み出したわれわれの選択なのだと締めくくられました.まさに示唆に富んだ有り難いお話であり,私どもも同じような考え方に立っており,その実現のために努力を惜しまないものであります.緊密な連携の必要と必然は明確であり,歴史を踏まえて未来に向け協調関係を築いていきたいものと思っております.(学会長) |