JSRT 巻頭言 | Jpn. J. Radiol. Technol. 2005; 61(7) |
学会を断面的に見る
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小水 満 |
2 年前から理事を務めており,今年度から企画委員長を担当することになりました.企画委員会のように学会の将来を担う極めて重要な立場の役割を与えられたことに対して重責を感じております.この学会長の人選が,ひいては会員の利益の結果につながらないことを自分自身で危惧しながらも責務に応えるべく方針を模索しています.そうはいっても,既に事は常に進行しており,前任者から引き継いだ山積する課題に対処しているところです. 技術学会は,放射線技術学の学問体系のなかで,学術研究や教育などの成果を上げる場であると思っています.しかし,現在,学会の内外から専門技術者,研究者,更に教育者としてなど,幅広い領域にわたって多くの役割が求められていることは周知のとおりです.学会としての将来構想の項目は多岐にわたっており,専門分科会の役割,専門技師制度,地方部会の役割,教育機関との連携,学術的に関連する学会との合同企画などについて活動する構造となっています.私は,2 年前から技術学会近畿部会長を務めていることから,そこで経験していることを踏まえて,学会を構成している一つの部会が,本部に対して,どのような位置付けで運営するのか,また,分科会との連携をどのように行うかなど,学会を断面的な観点から,課題も含めて整理することにします. 統一部会になってから10年が経過しました.その間,本部は分科会,部会に対して専門性や地域性をより充実させることによって,本部と分科会,部会が互いに連動し合いながら効率的な事業・運営を目指してきたと思っています.会員減少対策のために本部と分科会,部会と連携した共催対策事業はその一例であり,現在はその成果が少しずつではありますが現れているように思っています. 一方,技師会との合同開催事業や統一部会費などは,今後の課題として存在しています.技師会との合同開催事業については,学会長の見解が既に出されていることは周知であり,今後,地域の活性化への柔軟な対応から,合同開催の傾向は広がるものと思っています.統一部会費については,部会が執行できる事業は予算面から大きな活動制限を受けるため,単に部会費を安く統一することが問題の解決にはならないとも思っています.部会費は各部会事業の独自性,地域性に依存して運営されており,統一部会以前からの流れを現在につないでいる要因もありますが,更に,放射線技術学や関連する情報の多様性に対応するために,より充実した部会運営が期待されるようになると思われます.しかし,反面,その期待度や依存度が高くなるほど部会での負担が多くなり,時間と人,費用などが膨張することは明白であり,規模の点からも部会としての機能が低下することが予測されます.このような矛盾のなかで,今,各部会に求められているものは何であるかを理解する必要があります.過去に固守するのではなく,将来に向けた人材をしっかり育てていくことが大切だと考えています.技術学会の将来を担っていく人たちの足かせとならないシステム作りこそが肝要ではないでしようか. 技術学会を断面的構造から見ても,各組織は,それぞれが有機的な結合によって融合しながら機能的に活動していることは明らかであります.敢えてこのような形で問題に触れてみましたが,今後のどのような変革に対しても柔軟に対処できるような展開になればと思っています.分かりやすく,魅力ある学会を創るために,会員の皆様のご協力をお願いする次第です.(理事) |