Vision Forum

 人間は社会的動物であり、その存在自体、あるいは立場に拘束され、理想とすること、こうあらねばならないことを容易に実行できないでいる。それどころか、公に口にすることもはばかり、せめて陰で愚痴る程度が大方の有様であろう。特に日本人社会にはその傾向がより強く、時代が進み、文明的にはより発展してきているように表層では見えるものの、人間の叡智を結集し、文明における深層部分を強化し、将来に期待を寄せられる社会の構築に積極的とはとても思えないのが、悔やまれるところである。それは社会を構成する大きな要素であるサブシステム、つまり会社や大学や団体などの組織においても大同小異であろう。
 表裏を使い分け、本音を出さず、表面的な平穏を装っていては、夢をもてる未来は訪れないだろう。正直こそ、つまり本音で語り合えてこそ、そこに活路が見いだせるというものだ、と信じたい。

 ここVision Forumはまさに、それを実現する場として、清水の舞台から跳び降りる位の気持ちを込めて立ち上げた。しかし、やはり「存在拘束性」(カール・マンハイム)から自由な人間は残念ながら少ないし、それを意識しながらもそれから自由でありたいという勇気ある“現役”の志士は、尚更少ないのが現実だろう。ということから、現役真っ只中よりは、超然とできる、いわばシニアにご登場願い、「建設的な本音」を未来のために語っていただいくことになる。その記念すべき第一回は「日本の放射線医学を憂う」からスタートする。

New Visions for Medicine 編集部


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  • 日本の放射線医学を憂う
    小塚 隆弘  大阪大学名誉教授(放射線診断学)
      vs
    沼口 雄治  聖路加国際病院放射線科部長
    ロチェスター大学教授(米・ニューヨーク州)
    (神経放射線診断学、Interventional Neuroradiology)

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